本邦株式市場におけるアクティビストの台頭

M&Aナレッジ 

近時、新聞等のメディアでアクティビストに関連する話題が毎日のように報道されています。時価総額の大きく有名な銘柄がセンセーショナルに取り上げられていますが、上表が示すように時価総額や業界を問わずアクティビストは幅広い領域に活動範囲を広げてます。

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アクティビストから魅力的に映る企業の特徴

広範に展開しているアクティビストですが、どのような企業が彼らの目に魅力的に映るのでしょうか

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最も分かり易い特徴はバランスシート上の余剰現預金/事業外資産であると考えられます。「余剰資産を有効に活用できないのであれば株主還元に回すべき」という主張はシンプルであり、かつ業界知見や当該企業の事業戦略に関する深い理解がなくても選択できるオプションです。手元にキャッシュが無くても調達余力に着目され、資金調達を行い株主還元に充当すべきという主張を行う事例(例:新明和工業に対するレノの主張)があることも留意すべきポイントとなります。

多角化の進展により複数事業を抱える企業もアクティビストのキャンペーン余地を有します。「時価総額>各事業の企業価値総和」となる所謂コングロマリットディスカウントの状態の企業については、事業カーブアウト等による価値顕現化を提言されるケースが見受けられます。

またEXIT機会を探るアクティビストとして業界再編が進んでいくエリアも魅力的に映ります。「卵と鶏」の議論ではありますが、アクティビストが業界再編の発生を早める触媒となる事例も近時よく見られます。

アクティビストが現れた場合に採るべき対応

今日において、どの企業も活動の幅を広げるアクティビストにいつ入られても不思議ではありません。株を保有した後「取締役との面談依頼」「株主提案(自身のWEBサイトでの主張公開を含む)」「敵対的TOB(OR更なる市場での買い増し)」等のアプローチを仕掛けてくる可能性が高く、対応策について事前に想定することが肝要となります。

① アクティビストが主張する経営課題に関する認識/経営方針の見直し
・アクティビストが認識する経営課題(=“経営効率化”と称する株主還元策)の指摘が想定される。先駆けて指摘されうるポイントを抽出し、経営陣としての認識/今後の方針を整理しておく必要があります

② 企業価値向上に向けた経営戦略/中期経営計画の具体化
・アクティビストが主張する経営課題への対応策を比較して、経営陣による経営戦略/施策がより企業価値を向上しうる事を説明することで株主からの信任を得るのが基本路線です
・具体的には、上記で示した経営課題に対する認識・今後の方針に加え、中長期的な視点での経営戦略・中期経営計画を具体化することが挙げられます
・また、有事対応も想定し、貴社経営陣(+投資ファンド)によるMBOや他事業会社との統合も含めた非公開化・資本政策オプションも整理しておくことも重要となります

増加傾向にあるアクティビストによるTOB

近時、アクティビストが対象企業に対してTOBをかけるケースが増加している。2020年9月に更新された「公開買付に関するQ&A」において、TOBを実際に行う合理的な根拠がないにも関わらずTOB予告をする行為については「風説の流布や相場操縦に該当する可能性がある」旨が明記されたことが一要因になっていると考えられます。

TOB前の経緯は開始日に通知するケースもあれば、やり取りが一定期間断絶した後に突如TOB公表がなされるケースなど様々なパターンがある。またTOB前にはアクティビスト/対象企業間で十分な事前協議がなされていない事例も多数見られます。

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アクティビストによるTOBが開始された場合、対象会社は①TOBが開始される旨のプレスリリース(TOB公表当日)、②TOBに対する意見表明報告書(TOB開始から10営業日以内)を提出/公表する必要があり、極めて短期間での対応が要求されます。

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アクティビスト対応におけるGCAのサポート

アクティビストが活動範囲を広げており、かつ短期間での対応が必要となるTOBに踏み切るケースも増えているため、今まで以上に「有事を想定した平時からの備え」がより重要になってきています。
GCAは永年に渡りアクティビスト対応の実績を重ねており、平時からの準備/有事の対策等の幅広いサポートを行える体制を整えております。
アクティビストに関するお問い合わせ、ご相談をお気軽にお寄せ頂ければ幸いです。

記事監修

この記事を監修している弊社担当者です。