ITサービス・SaaS/ソフトウェア業界 | マーケット動向レポート(2025年冬季)
2026.01.21
レポートサマリー
ITサービス
- SIer各社は売上・利益とも堅調。他方、スモールキャップ銘柄中心のクラウド関連セクターは、大手プレイヤーとの競争環境の中、収益性改善に一定の苦戦。AI銘柄においては、利益成長に伴うマルチプルの正常化傾向が見られる
- マクロ環境を背景とした一時的な下落局面を経たものの、株価は概ね下落前水準を回復。特に、過去最高益を更新する企業も見られた大手SIerの業績好調が株価動向にも明確に反映
- バリュエーション面では、大手SIerのEV/EBITDAが前年同期比で3x超上昇。規模の経済を背景に準大手との差異が拡大する一方、市場が収益性を重視する局面において、営業利益率の伸長が限定的なクラウド関連銘柄は、株価の上値が抑えられる傾向。
- M&A動向としては、継続的に存在感を示すAccentureに加え、BrainPad、SCSK、Catalinaなど、データ・クラウド・AI領域に強みを持つ企業による大型買収案件が散見される。
SaaS/従来型ソフトウェア
- 大手SaaS・従来型ソフトウェア企業群は、堅調な売上成長とともに、収益性の改善が進展。価格改定や契約社数の増加が増収に寄与し、広告宣伝費や外注費の抑制により営業利益率が向上。全体として、コスト効率を重視する経営へのシフトが見られる
- 株価動向については、マクロ環境を背景とした一時的な下落局面を経て、業界全体としては市場回復に伴い下落前水準を上回る水準まで反発。ただし、従来型ソフトウェア銘柄が相対的に堅調に推移する一方、SaaS銘柄の株価は足元やや調整局面にある。
- SaaS企業は足元株価・マルチプルが下落局面にあるが、市場環境の追い風を受けて売上・利益ともに高成長を継続。一方、従来型ソフトウェア企業は成長率こそSaaSに劣るものの、マルチプルは安定的に推移
- バリュエーションの決定要因としては、SaaS市場において依然としてRule of 40とEV/Salesとの高い相関性が確認されている(R²=93%)。一方で、米国市場と異なりリテール投資家の比率が高い国内中堅SaaS企業においては、収益化が急激に進展する中で、近い将来的において従来型ソフトウェア企業と同様、EBITDA倍率×Rule of 40(またはEBITDAマージン)といった評価軸へとシフトしていく可能性が示唆される。
- 2025年1月以降は、国内SaaS/BPaaS市場において、PEファンドによる非公開化と事業会社による周辺領域の取り込みが並行して進展。プロダクト補完、事業拡張、再成長を狙った戦略的買収が多くみられる
記事監修
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