プライベートエクイティ(PE)ファンドと企業成長を加速する~非公開化の選択その意思決定の裏側

イベントレポート 

テクノロジーの進化や新興企業の台頭により、ビジネスを取り巻く市場環境が急激に変化する昨今。時代に合わせて変革を起こし、企業価値を最大化させていくことが経営者の方々には求められています。一方で多様なステークホルダーからの要望に応えつつ、意思決定をしていくことは困難が多いのではないでしょうか。

日本市場におけるPEの役割や非上場化といったテーマが新しいフェーズに差し掛かる中、2023年8月3日(木)に開催された対談イベントでは、弊社(HL)代表取締役CEOの野々宮律子が経済情報プラットフォーム『SPEEDA』や『NewsPicks』等を展開するユーザベースの代表取締役で今回PEと企業成長を進める決断をリードした佐久間衡氏と、TOB以降同社を支援しているカーライル・ジャパン マネージングディレクター小倉淳平氏とともに意見交換を行い、具体的事例を基に企業価値を最大化するための考え方と実際の意思決定のリアルを参加者と共有いたしました。

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サマリー

以下の各コメントは、小倉氏:(O)、佐久間氏:(S)、野々宮:(N)と略

  • PEファンドの存在感の高まり:グローバルにおけるPE投資総額は2021年史上初の1兆ドルを超えM&A取引総額全体の2割を占めるまで至っている。直近では特に欧米での相次ぐ利上げとインフレ懸念からPEアクティビティが様子見の凪となっており、日本企業にとっては買収のチャンスのウィンドウが開いている。一方、日本においても経営のオプションの一つとしてPEファンドと積極的にコミュニケーションをする企業が増え、その存在感は高まりをみせている(N)。
  • 非公開化の実体験を通じて:グローバル市場での拡大がさらなる成長の一手であった中で自らが非公開化の当事者となったが、結果、会社として当たり前の意思決定がシンプルに実行できるようになった(N)。PE傘下に入ったことで戦略の根本を一緒に考えてくれる人が唯一の株主になってくれた。これまで複数変数に同時対応しなくてはならなかった所、優先順位を決めて長期目線で戦略を実行できるようになった。パブリックとプライベート双方の市場の良さを使ってさらに成長していきたい(S)。
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  • PEファンドの役割:元々ユーザベースは非常にいいビジネスを持っている。これまで株式市場で短視眼的に結果を求められていた所を1、2年という時間軸に変えて、今までの戦略をしっかりと実行してもらっている。あくまでも企業が主役で、オーナーシップをもってこのパーパスを実現してくんだと、お客さん、世の中にこういう価値を提供していくんだという明確なビジョンをもって実現に向けて真剣に取り組んでいることが重要。PEはそのギャップを埋めるためのお手伝いをテーラーメードで行い、インセンティブも付与するのが役割。PEが何かウルトラCをやるわけではない(O)。
  • PEファンドの選び方:担当者が重要。最終的にはその人を信頼できるかどうかにつきる(N)。全く同感。グローバルな企業経営の経験が豊富なうえに、コミュニケーションの取れる人かどうかという視点で選んだ(S)。
  • PEファンドが重視している点:やはりコミュニケーションが重要。バッドニュースもグッドニュースもすぐにPEへコンタクトするのが正しい付き合い方。そのためにも、上でも下でもなく対等性を意識したポジショニングをしている(O)。
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  • HLとPEの関係:HLは欧米で1000社のPEとリレーションを持つ。PEを熟知し、PE市場とともに成長してきた。PEをカバーするチームは自らを、PE市場の「流れの中にいるのではなく、流れそのものをつくってきた」と自負。グローバルのプラクティスを日本でも取り入れ、PEとのパートナーシップで成長ビジネスをサポートし流れをつくっていきたい(N)。

記事監修

この記事を監修している弊社担当者です。