再び注目を集めるイスラエル投資 | 駐日イスラエル大使館 経済部協力『Japan Israel Innovation Collaboration 3.0』

イベントレポート 

2023年7月11日(火)にイスラエルのスタートアップを日本企業に紹介し投資支援を行うVCが主催するセミナーにて、弊社イスラエル事務所長のIdo Zakaiと、東京事務所マネージングディレクターの郷一尚が、日本~イスラエル間の投資活動やM&Aの最新状況につき解説いたしました。

サマリー

  • 日本企業によるイスラエル投資・M&Aの件数は、2021年は90件と過去5年間で約4倍に飛躍。取引金額は、過去にイスラエルブームといわれた2017-2019年と比して2~4倍にまで成長。特に21年はソフトバンクが10億ドル超の案件に9件参加したことに起因する。
  • 投資の中身にも変化が見られる。2010年代半ばまでは伝統的な産業領域(ソフトウェア、IT、サイバー、半導体等)が多かったが、近年はライフサイエンス、フード/アグリテック、モビリティ、グリーン、金融など、業種も多様化。また以前は比較的アーリーなファイナンス・ラウンドへの参加が中心であったが、近年はより大型の投資や、コントロールを取るM&Aも、加速傾向にある。
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  • このように、2000年代初頭の主にIT領域での技術シードへの少額出資が太宗を占める試行錯誤的段階から、近年では多様かつレイターな技術領域におけるより本格的なパートナーシップや人の交流、実業からの投資リターンを含むより洗練された形へと、質・量ともに変貌を遂げて来た。
  • その間、画期的な技術ソリューションを生み出す技術的優位性、米国等での上市/上場等を含む国際的な通用性、米国と比べた敷居や価格の低さや親日といったイスラエルの本質的な良さは変わらず、むしろ磨きが掛ってきたといえるが、一方の日本企業は、昨今の円安や国内市場の縮小、半導体や自動車といったリーディング産業でも国際的な技術競争力の低下が懸念される状況にある。
  • こうしたことから、技術ソーシングの観点からはイスラエル投資の魅力は益々高まっているともいえ、今後とも日本企業にとっての有力かつ有望な投資先として、一層目が離せない状況が期待されるといえよう。