売主にこそメリットがある表明保証保険 | M&Aフォーラム『マージャーマーケット ジャパン2023』
2023.07.21
2023年6月29日(木)に開催された日本トップクラスのM&Aフォーラム『マージャーマーケット ジャパン2023』のパネルセッション「表明保証保険を活用したディールリスク管理」において、弊社エグゼクティブディレクターの山口絵理がマーシュジャパン株式会社シニアバイスプレジデント宍倉浩司氏、同社バイスプレジデント犬塚雅人氏とともに意見交換を行いました。
表明保証保険とは、株主譲渡契約等における売主の表明保証違反(例えば財務諸表の簿外債務など)に起因する買主が被る経済的損害を補償する保険です。網羅的な表明保証を要求する買主と保証範囲を限定したい売主の間のギャップを埋め、ディール交渉を前進させるツールとして近年活用が増えています。双方にとってWin-Winとなる保険設計ですが、利用者からは特に売主にこそメリットのある保険と評されています。
動画全編(28分)は以下よりご覧いただけます。
テーマ:クロスボーダーおよび国内M&Aの新たなトレンド/表明保証保険を活用したディールリスク管理 ~ Houlihan Lokey、Marshによるパネルディスカッション
サマリー
- 日本のM&Aマーケットは興味深い発展トレンドが遂げている。事業承継のM&A件数は10年間で約4倍に増加。プライベートエクイティ(PE)の存在感も増し、PEが国内M&Aの買手となる件数は20年前の約6倍に迫る勢い。直近のクロスボーダーM&Aではポートフォリオの見直しから海外子会社を含む戦略的売却が加速。
- これらを背景に近年売却案件において、売主が買主用の表明保証保険を主導していくことが可能な「Sell-Buy Flip」と呼ばれる手法をプロセス設計に組み込むケースが増加。表明保証保険の2段階プロセス(概算見積りと引受審査)のうち、Sell-Buy Flipでは前半の概算見積りを売主自らが行い、後半の引受審査プロセスで買主にバトンタッチをする仕組み。
- 表明保証保険では保険会社が概算見積りを出せないケースもあるため、まずは売却プロセスの初期段階で売手がDD対応や契約条件を見越したプロセス準備とスケジュールを管理することで、その後の契約交渉等を効果的に進められる前提を作ることができる。買手にとっても保険見積りに提示された選択肢をもとにDD及び契約交渉を進められることができ、最終的には双方にとってWin-Winとなる。
Q&Aセッション
- マクロ環境の不透明さの中の表明保証保険ニーズ
- グローバルオークションの際のSell-Buy Flipの設定
- フィーについて
- 売手としてSell-Buy Flipに必要な準備
記事監修
この記事を監修している弊社担当者です。