最近のアクティビズムの動向(2023年4月版)
2023.04.13
レポートサマリー
【グローバル】
- 2022年の世界のアクティビズムは引き続き活発であり、ターゲットとなった企業数は約1,000社と高水準。国別トップは引き続き米国であった
- データを分析して浮かび上がる近年の特徴として、幾つかの大きな不確実性イベント(COVID-19、ウクライナ侵攻、インフレ)の影響が如実に表れている
- ダルトンやオアシスのような純然たるアクティビストではない投資家によるキャンペーンの件数・構成比が増加傾向にあり、アクティビズムの裾野が拡大している
- ESGアクティビズムの活動は旺盛であったものの、キャンペーンにおける勝率は低下。化石燃料系エネルギー株のアウトパフォームや、エネルギー高による社会不安もあり、環境関連の株主提案に対する賛同が得られにくい社会経済環境であったものと推察される
- M&Aアクティビズムとしては、高まる不確実性を背景として「攻め」の買収を後押しする提案が減少する一方で、スピンオフやカーブアウトの提案・要求は安定的に推移。収益性向上や事業構造効率化といった課題がクローズアップされやすい経済情勢の表れと推察される
【日本】
- 上記グローバルのトレンドは、時を経て日本にも波及すると考えるべきである
- 2022年の統計によると、日本は既に世界で2番目に活発なアクティビズムマーケットとなっている(5年前の2017年は4番目であった)
- 日本企業のバランスシート、相対的に低いバリュエーション、各種非効率(バリューアップの源泉)の存在といった従来着目されていたテーマに加えて、最近ではコーポレートガバナンス改革機運の加速、東証による資本効率や株価等を意識した経営の要請など、アクティビズムを惹きつける要素が増えている
- かつてないほど上場企業に対する企業価値増大/収益性向上へのプレッシャーがかかっており、事業構造見直し、潤沢なキャッシュの有効な使途発掘等へのモチベーションが大きく高まっている状態と言える
記事監修
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