M&A Trend in Asia ~アジアのM&A動向~|2021年第4四半期版

シリーズ記事 

東南アジア

  • 2021年、東南アジアでは新たに19社のスタートアップが「ユニコーン」となった。結果として、東南アジア域内では現在35社がユニコーンとなっており、主な国別内訳はシンガポール15社、インドネシア11社となっている
  • 東南アジアのインターネット経済圏は、更に多くの人々がオンラインショッピングやフードデリバリーの利用することで2030年までに1兆ドルに達すると予想されている。COVID以降、域内では60百万人のインターネット新規ユーザーが出現しており、現在は4.4億人のユーザーを擁している。また、域内のオンライン事業者のGMVは、2021年の1,740億ドルから2025年には3,600億ドルに増加すると見込まれている
  • 2021年9月シンガポール金融庁(MAS)は、世界最大級の仮想通貨取引所運営事業者のBianance社に対し、シンガポールでのサービス提供を停止するよう求めた。その後Binance社は、シンガポールの利用者に対し仮想通貨交換サービスを停止すると発表した。仮想通貨事業の起業者は、シンガポールで合法的に事業を行おうとする場合の当局のライセンスの発行に不透明感があると感じている模様。現在、DBSの一部門を含め3社しかライセンスを取得できておらず、免除規定が適用される会社の数も減少している

インド

  • 2021年はインドスタートアップ躍進の年であり、44社ものユニコーン企業が誕生。政府により上場基準が緩和されたことで、国内における大型IPOが相次いだことに加え、SPACを活用してインド企業が米国市場に上場する動きも見られた。今後、成長するインドのスタートアップ企業に対する戦略的投資を通じて、オープンイノベーションを図る流れが更に加速するものと思料
  • コロナ第2波が去り景気回復で電力需要が急増する中、2021年半ばから石炭不足が深刻化。一方、大気汚染を考慮し、首都圏ではディーゼル自家発電機の使用禁止となった。インド政府は、脱炭素に関する欧米からの強いプレッシャー、中国政府の方針表明も踏まえ、再エネやLNG活用によるエネルギートランジションを迫られている。かかる状況下、2021年12月、大阪ガス・静岡ガスがガス供給事業に参入すると相次ぎ発表。大気汚染の改善や低炭素化に向けて天然ガスの利用拡大を推進するインドの政策に、日系企業が歩調を合わせた格好
  • その他にも、コロナ感染者が激減した第3四半期を中心に、日本企業によるM&Aの動きが活発化
    • 王子ホールディングス、インド北部にある段ボール製造販売会社エンパイア・パッケージズの発行済株式80%を取得したと発表(10/4)
    • 三井物産、インドでコールドチェーン事業に参入、地場物流大手トランスポート・コーポレーション・オブ・インディア(TCI)の子会社で、冷凍や冷蔵など低温物流を手掛けるTCI・コールド・チェーン・ソリューションズ(TCI CCS)に出資(11/4)
    • クボタ、インド首都圏にある農業機械大手エスコーツへの出資比率を53.5%まで引き上げ、子会社化すると発表(11/18)

中国

  • 伊藤忠商事は2021年11月16日、コーヒー製品の加工・生産などを手掛ける中国の上海威銘食品(上海市)と資本業務提携したと発表した。出資額は数億円。伊藤忠商事が中国のコーヒー製造業者と資本業務提携するのは初めて。地場企業との連携を強めることで、中国で急拡大するコーヒー需要を取り込む
  • 総合免税店のラオックスは2021年12月、同社筆頭株主について、家電量販中国大手で電子商取引も手掛ける蘇寧易購集団(江蘇省南京市)からシンガポールの投資会社に変わったと発表した。蘇寧のグループ会社が保有するラオックスの株式がシンガポール投資会社に譲渡され、出資比率は約65%から約30%に引き下がった
  • 半導体関連製品を手掛けるフェローテックホールディングス(東京都)は2021年12月9日、安徽省の半導体企業蕪湖啓迪半導体(安徽省蕪湖市)に2億元(約35億8,000万円)を出資し、議決権の9.52%を取得すると発表した。次世代半導体事業を強化することなどが狙い

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