Brexit最新情報|欧州M&Aブログ(第1回)

欧州ブログ 

7月末にGCA株式会社は欧州Altium社と経営統合し、日米欧亜10ヶ国に14拠点を有するグローバルM&Aアドバイザリーファームとして新たなスタートを切りました。欧州におけるプラットフォームの確立を機に、本ブログを通じて最新の欧州M&A事情をお伝えして参ります。

Brexit最新情報

英国の欧州連合離脱(Brexit)をめぐり、メイ首相がEUの単一市場からの退場も厭わない強行路線「Hard Brexit」に傾くのではないかとの警戒感から、英国ではポンド安と物価上昇が進行しています。今月3日には英高等法院がEU離脱には議会承認が必要との判断を下し、離脱交渉の開始時期は不透明になりつつあります。様々な不確定要素を作り出しているBrexitではありますが、M&A市場に関しては、金融緩和による市場への潤沢な資金供給などを背景に堅調に成長しており、特にマイナス影響は出ていないようにも見えます。そこで、現地英国のM&A市場の現状について弊社GCA Altium Group CEO, Phil Adams(マンチェスターオフィス)に聞いてみました。

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■BrexitによるM&A市場への影響を感じますか?

現段階においてBrexitによるM&A市場への直接的な影響は感じられない。セクター別で見た場合、例えば弊社が得意とするテクノロジー分野のM&Aは堅調に推移しており、セクターによってはBrexitに関係なく今後も増加していくと見ている。規模別で見た場合、大型案件はBrexitに伴う先行き不透明感からPEファンドなどでは慎重な姿勢が見られたものの、その後ソフトバンクによるARM Holdingsの買収等、数多くの大型案件が成約している。中規模案件については、これまでのところBrixitの影響は全く見られない。今後については、離脱交渉の行方次第ではあるが、ファイナンス環境も金融緩和により引続き良好であることから、テクノロジー分野を中心にM&A市場は堅調に推移するだろう。

■昨今のポンド安によるM&Aへの影響はいかがですか?

ポンド安によるネガティブな影響は今のところ見られず、むしろ割安となった英国企業の買収機会を探る外国企業が増えているように見える。来年には米PEファンドによる英国投資の動きが活発化すると思われる。

■その他M&A市場において注目すべき動向はありますか?

昨今欧米のIPO市場において、上場延期や取り消しの動きが散見される。英国では、ポンド安の影響で売上高の大半を海外で得ている多国籍企業の業績が上昇、その結果英国株の割安感が増し株価高騰に繋がったが、IPO時の売出し価格が高騰した株価を前提としているため、投資家から実態と比較してバリュエーションが高すぎると指摘され価格の見直しを迫られるケースが見られた。世界的な低金利環境により資金調達手段としてのIPOの重要性は低下しており、オーナーの持分売却の手段としては、今後はIPOよりM&Aに注目が集まるだろう。

GCA Altiumの日本企業関連案件のご紹介

パナソニック欧州による英国Alan Dick Communicationsの買収(売手アドバイザー)

パナソニックは英国の鉄道システム事業に本格参入するため、英国で鉄道通信システムを手がけるAlan Dick Communications (ADC)を6月に買収しました。ADCは英国鉄道大手に信号制御システムや運行管理システムなどを提供し、パナソニックとは2015年に線路侵入防止システムで協力した経緯があります。ADCのJason Pearce社長は「パナソニックグループの一員として鉄道システムのハードウエアからサービスまで一貫して提供する事業を共に拡大していく」とコメント、両社は協力して業界のデジタル化に向けた革新的サービスを提供する予定です。(日刊工業新聞、同社プレスリリースによる)

記事監修

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