インダストリアルテックセクターアップデート(2022年3月版)

インダストリアル 

レポートサマリー

  • コロナ禍で工場や倉庫の自動化・デジタル化のニーズが加速したことを背景に、インダストリアルテックセクター(マテリアルハンドリング、産業用ロボット、ファクトリーオートメーション、またこれらに関連するITやソフトウェア分野)に属する企業の多くは、コロナ前の水準を超える業績を達成している。
  • 好調な業績、今後の成長期待を受けて株価も上昇傾向にあるが、M&Aを有効に活用して売上拡大・収益性改善を達成している海外企業に比して日本企業に対する市場の成長期待は高くはなく、株価は伸び悩んでいる状況。その結果として海外企業のバリュエーションは高騰している一方で、日本企業は低下傾向にある(=業績の改善度合いに比して株価の上昇が限定的)。
  • 本セクターのM&A状況に関しては、パンデミック宣言時には案件数は一時的に減少したものの、2021年はコロナ前を上回る水準まで回復。特に大型案件が前年比約2倍まで増加し、平均EV/EBITDA倍率も17-18xと非常に高い水準で推移。SPACを通じた上場やソフトウェア関連の大型案件、日本企業による大型買収等、グローバルで見てもM&Aが非常に活況なセクターと言える。
  • 今後のトレンドとしては、物流・EC大手による自動倉庫の内製化やロボットメーカーとマテハンメーカーの統合など、バリューチェーンの垣根を超えたM&Aが増加すると思われる。世界的に見ても日本企業は本セクターにおける存在感が高いため、日本企業がグローバル再編の主役になっていくことが期待される。

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